SNSでは、「財務省解体デモ」がトレンドです。
個人的には、これまで明るみに出ることが少なかった官僚機構の問題について焦点が当たることは、良い傾向だと思っています。今回の記事では、この流れを封殺しようとするミスリードの一覧をまとめてみました。
「財務省解体デモ」への異論として見られる市民の意見を封殺するミスリードの例
「では、財務省のどこが悪いのか具体的に言ってください」
具体的な問題を個別に挙げさせ、それを否定することで相手の主張全体を否定し、全体の問題を曖昧にする手法。問題の細分化による焦点ずらし。個別的問題に落とし込むことで相手側を分断して各個撃破を容易にする効果もあります。近年、権力側の人々によってしばしば用いられる手法です。同じ手法として「ふわっとしたことを言ってないで、具体的な例を挙げてください」があります。
「財務省を解体したら世の中が大変なことになる」
思考停止の脅し、現状維持バイアスの罠。
対応方法
「解体」という強い言葉は運動初期の盛り上がりの熱量を高めるには有効ですが、長期的には、「解体」という強い言葉ではなく、「改革」や「再編成」といった方向で議論を進めるが吉かと考えます。システムの改善や透明性の向上が可能であることを強調し、現状の維持が長期的にはより大きな問題を引き起こす可能性があることを指摘します。
「悪いのは財務省だけじゃない。すべての官僚組織が悪い」
戦力分散の愚を誘うミスリードです。選択と集中の重要性。
対応方法
この視点を受け入れつつ、問題の核心に焦点を当て、資源の集中と優先順位付けが重要であることを強調します。すべてを一度に対処しようとすることで問題解決が遠のくことを説明し、問題ごとに具体的な解決策を提案するアプローチが求められます。
対応方法
個別の問題点にかかずらわらせることで議論を進め、全体の問題としての責任を曖昧にさせる手法を防ぐことが大切です。それには、全体的なシステムの構造的問題に焦点を当て続けることです。その上で、具体的な改革案を提示していくことが重要です。
「官僚は安月給で身を粉にして日本のため働いている」
社会システムの腐敗から生じている問題を個人の問題へすり替える手法。
対応方法
反論として、財務省の問題は官僚機構システム自体の問題であることを指摘し、個人がどうこうではなく、全体としての仕組みが腐敗を招いていることを強調します。また、官僚の職務の重要性を認めつつ、改革の必要性を論じます。
「官僚がいなければ日本は回らない」
依存と腐敗の正当化。
対応方法
改革や変革が可能であることを示し、官僚機構への依存がシステムを硬直化させている点を指摘します。例えば、他の組織に権力を分散したり、民間の力を活用する余地があることを示唆し、官僚機構に依存しない社会を目指す方向性を提案します。
「これまでのやり方でやってきたのだから、急に変えるのはリスクが大きい」
「リスク回避の過剰強調」
変化への恐怖を強調し、進歩や改革を抑制する論法。
対応方法
変化への恐れを克服するため、変革が持つ潜在的な利益と、現状維持のリスクを比較して説明します。過去の方法が有効であった時代もあったが、今後の社会的・経済的背景に対応するためには変革が不可欠であることを強調します。
「どの政策も完璧ではないから、これ以上議論しても無駄だ」
「完璧主義による行動抑制」
完璧を追求しすぎて、現実的な改善策を無視する論法。
対応方法
完璧を目指すことが重要ではなく、実現可能な改善策を講じることが重要であると説明します。小さな改善でも現状よりも良くするための第一歩となることを伝え、議論を続ける意義を示します。
「この問題に関しては意見が分かれているから、結論を急ぐべきではない」
「意見の分散による現状維持」
意見の相違を強調し、問題解決を遅らせる手法。
対応方法
意見の相違を尊重しつつも、問題解決のためには迅速な意思決定が必要であることを伝えます。長期的な停滞が問題を悪化させる可能性があることを指摘し、合意形成のための努力を続ける重要性を強調します。
「今はこの方法がベストだと思う。過去の方法に戻すのは後退に過ぎない」
「過去の否定による未来の強制」
過去の手法を否定し、現状維持や変化を強制する論法。
対応方法
過去の方法が時代に合わない可能性があることを示し、今の方法が本当に最良なのか、進化の余地がないのかを冷静に問いかけます。過去の成功を肯定しつつ、未来に向けた適応が必要だという視点を示すことで、改革に対する理解を得ます。
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございました。